今年最初に観た映画はこちらでした。
「サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜」
今年初めて観た映画にして、早くも「今年No.1かもしれない」というくらい感情移入した映画でした。
途中から泣きながら観続け、見終わった後しばらく呆然でした。
ここからは思いっきりネタバレしてますので、結末を知りたくない方は読まないことをお勧めします。
恋人と二人で組んだバンドのドラマーとして暮らしていた男に訪れた突然の難聴という悲劇。
半ば信じられない中、翻弄され、流され、激変した環境を受け入れ、順応し、でも過去を諦められられず。元に戻ろうとしても戻れない。
話はとてもシンプルで、主人公ルーベンが難聴に見舞われ、恋人と離れて知り合いに紹介された支援施設に入所し、同じ聾唖者の人達と生活していくが、やはり元のように聴こえる生活が諦められずに人工内耳の手術を受ける。ところが聴こえるのは完全な音ではないノイズ混じりの音。実家に戻った彼女とも気持ちがすれ違った事を悟ったルーベンは、彼女と別れ、聴こえるようにするための装置を外す。
本当にシンプルで、映画自体も驚くほど少ない説明とエピソードが私にはかえって真に迫って見えました。
とにかく主人公ルーベンを演じるリズ・アーメッドが入魂の演技!
大袈裟な演技もあっと驚くエピソードもない映画。なのにルーベンに凄く感情移入してしまいました。
愛する恋人と離され、周りは手話で会話するため最初は孤独だったところから、聾唖学校の子供達や施設長との触れ合いなどでなんとか生きていく過程をとてもリアルに演じていて凄いです。
この映画は綺麗な映像もなく、器用な演出もなくて、むしろ映画自体も上手い映画ではかもしれません。
けどそれがかえって主人公の不器用さや迷いと重なるように感じられて。
リズの演技は本当に圧倒的でした。映画は役者の演技が本当に大事だと改めて気づかされました。
徹底的にBGMを排し、どこで音を鳴らすかにこだわり、ルーベンと同じような体験ができるので話に没入できました。聴こえないことを描く映画だからこそ、音に相当なこだわりを貫いている事が分かります。
主人公ルーベンの恋人で一緒にバンドを組んでいたルー。彼女も家族との不和でルーベンと寄り添いながら生きていたところをルーベンの難聴により、実家へ帰らざるを得なくなり、ルーベンと再会した時にはもう変化してしまった様を演じたオリヴィア・クックも印象的でした。
そして、難聴になったルーベンを受け入れる支援施設長のジョー。この人の存在がこの映画をさらに力強くしています。ベトナム戦争時の戦場で難聴になり、依存症から家族も何もかもを失ったとルーベンに話すジョー。ただ施設の人達やルーベンを見守る役ですが、その佇まいには今までの苦労や信念を感じさせるような味があります。彼もまた大袈裟な演技などないのですが、とても印象に残る人物です。人工内耳の手術をしたルーベンと対峙する時は凄みすら感じます。
演じるポール・ラチは私はこの映画で初めて知りました。この作品で様々な映画賞を受賞し始めてます。
主人公のバンドはメタルバンドじゃないのに(たぶんハードコアパンク)、なぜ映画のタイトルは「メタル」なのか。自分で考えてみたのですが、おそらく人工内耳をいれて聴こえる雑音が金属の音のようにキンキンしているからかな、と。
そんなメタルの音から自分を解放してみせるルーベンのラストの表情が印象的です。それもさりげない表現だし、人によっては希望に見えないかもしれないけど、心の平穏を手に入れたルーベンが何より愛しくなります。
突然の病や困難な状況に陥る可能性は、誰にでもあると思います。特に今コロナで揺れる私達にとって、難聴に見舞われたルーベンのようになる可能性は強くなっています。
ルーベンは決して器用ではないけど、ただただ必死に状況に合わせて生きていこうとする姿に凄く心を掴まれました。
リズのさりげなくも力強い演技ありきの素晴らしい映画でした。
音が重要なので映画館で観たかったけど、イヤホン鑑賞をオススメしてる方もいたので、私もまたイヤホンで見直したいと思います!
おまけ
分からない人多いかもだけど、リズ・アーメッドはCharli XCXの「boys」に出てるあのピンク熊男でした!!

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