先日、こちらの作品を鑑賞しました。
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「レンタル・ファミリー」
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東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップは、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんな中、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。そこで見つける、生きる喜びとは?
引用:映画「レンタル・ファミリー」公式サイトより
アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーを主演に迎えた、日本が舞台のこちらの作品。
兼ねてから注目されていて、公開後は洋画としては大ヒットとなったもよう!
海外での公開の評判の良さから、私も気になっていて公開を楽しみにしていた作品でした。
日本・東京の描かれ方やブレンダンの演技も楽しみにして映画館へ。私がどんな風に感じたか、語っていきたいと思います♪
ここから先は思いっきりネタバレしていますので、結末等をお知りになりたくない方はご注意ください。
「日本」や「東京」の描き方のリアルとアンリアルのバランスが良い
この作品をずっと観ていて、私が感心したところの一つが「日本」や「東京」の描き方が、まさに日本に住んでいる私からもそれほど違和感が無く、「リアル感が大事にされているな」と感じたところでした。
日本で撮影しているのだから当たり前だと思われてしまうかもしれませんが、たまに映画や海外ドラマで日本が出てくる際に「こんな人いないよね」とか「こんな場所ないよね」とか、そういう違和感がそれほどなく、ちゃんと「今の」日本や東京が舞台になっているな、と。
そこがあんまりズレすぎると特に日本の観客は冷めちゃうと思うのですが、「とても程よく描写されているな」と感じました。
小田急線沿線に住む主人公フィリップの住む部屋のボロさや、意外としっかりした(笑)オフィスのレンタル・ファミリー会社。街だけではなくて、そういう部屋や店やシチュエーション一つ一つもちゃんと作ってあって面白かったです。
でも、映画の最初の方で、フィリップが向かいの日本のマンション(?)の部屋部屋を眺めるシーンがあるんですけど、カーテン全開の部屋ってそんなにないと思います(笑)。とか、そういう小さなファンタジーはちょこちょこありますけどね(笑)。
でも全体的な違和感の無さはストーリーにも表れていて、話の軸になる「なぜ『レンタル・ファミリー』が必要なのか」というエピソードに、女性の恋人と暮らすために親はじめ親族に嘘をつく女性の結婚相手に扮したり、シングルマザーの依頼で娘の父親役になる理由が市立小学校への転入のために、とか。「日本なら確かにあり得るな~」と納得できるエピソードでした。
途中にフィリップが日本でブレイク(?)した歯磨き粉のCMなんか、日本で良く見かける感じのCMでリアリティに笑ってしまいました(笑)。
観たら誰もが好きになる!ブレンダン・フレイザーの魅力がとことん表れている
この映画の一番の魅力は、なんと言っても主人公のフィリップを演じるブレンダン・フレイザーの存在!
彼と言えば、90年代は「ハムナプトラ」というメガヒット作の主演から「ゴッド・アンド・モンスター」といったアカデミー賞に絡むような作品まで出演していた、ハリウッドを代表しつつあった若手俳優。
そんな彼が長いブランクを経て、「ザ・ホエール」の渾身の演技でアカデミー最優秀主演男優賞に輝いたのは映画ファンの間では記憶に新しいですよね。
そんな大注目の彼が次作に選んだのは、日本を舞台にしたこの作品。「ザ・ホエール」では強烈な演技だったところが、この作品ではちょっとしたきっかけで日本に7年も居着いてしまう、人の好さそうなアメリカの中年白人男性を演じています。
「ザ・ホエール」の方が強烈な役ですしインパクトが強かったと思いますが、私は「レンタル・ファミリー」を観て、「断然こっちの役の方が役も演技もいいな!」と思いました。
まず、このフィリップって技巧的にはそんなに難しい役ではないかもしれません。日本語などはちょっと大変だったかもしれないですが、日本語堪能な役ではないですし、本当に素朴な人柄の役でどこにでもいそうな男性なんです。本当に「そういう人に見えてくる」のが個人的にとても面白かったです。
でも、ブレンダンの演技が本当にナチュラルに見えて「本当にこういう人いそう」という感覚になれるんです。演技の元に人柄があるというような。「レンタル・ファミリー」に所属して最初に引き受けた大役に責任と良心の呵責を感じて、逃げ出してしまうところなんか、ほんとありそうで。
この映画を観たら、日本人ならほぼ誰でも「フィリップ=ブレンダン」を好きになってしまうと思います。
恐らくブレンダン自身がそういう人柄を持っていて(日本のプロモーションにもめっちゃ出てた)、彼がスターになったのも、そしてハリウッドから遠ざかってしまったのも、おそらく「その人柄から起きたことだのかも」と思います。そんな彼が日本という異国で自分自身を仕事で見つめなおすというこの役は、「ブレンダン本人にとっても『ザ・ホエール』と同じくらい分岐点になった作品かもしれないな」と思いました。
ブレンダンを支え導く日本人キャスト
そんなブレンダンを相手に演技をするのは、レンタル・ファミリー会社の社長役に平 岳大、会社の優秀な社員に山本 真理と、海外作品でも活躍する役者達。特に平 岳大の安定感には驚きました。海外ドラマ「将軍」も良かったですが、今回の社長役ではまた違う一面が観れました。
また、依頼人側としては日本を代表する役者の役に柄本 明。このエピソードもやや夢物語的なところもありながらも柄本 明とブレンダンの演技の交わりが面白かったですが、個人的にはシングルマザーに育てられた利発な女の子で、突然現れた父親に戸惑いながらもだんだん心を開いていくところの演技が良かったゴーマン シャノン 眞陽と、日本人キャストもとても良かったと思います。
この映画、Artios Awardsという賞をコメディ作品として受賞しているのですが、この賞はハリウッド作品のキャスティングについての賞。アカデミー賞もキャスティング賞を新設するなど、キャスティングにの重要性も映画界でどんどん高まっている中、この受賞は素晴らしいと思います。
「BEEF」から映画へ HIKARI監督のドラマ作りの素晴らしさ
この映画の監督はHIKARI。日本人女性で、Netflixのオリジナル海外ドラマ「BEEF」の監督も務めていた方です。
「BEEF」がとても話題作だったので私も鑑賞していたのですが、その時は題材が私にちょっと合わなかったり、役者の演技もちょっと物足りなくて「うーん」って感じだったんですけど(笑)。
私の「BEEF」の感想はこちら

でもこの「レンタル・ファミリー」では、映像の美しさや切り取りのうまさはそのままに、もっと自分の根に適した題材だったのか、演技面の引き出し方もとても良かったと感じました。
「BEEF」のような題材も映像もアジア系キャストもチャレンジングで、キレの良さを最大限求められるような作品だったところから、今作のような、小さなおかしみと温かみを大切にした、もはや「古き良き」と言えるかもしれない人間ドラマを作り上げたところがとても面白いと思います。
次回作も楽しみにしたいです。
というわけで、「レンタル・ファミリー」の感想でした!気になった方はぜひ観てみてください♪

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